給水用具について

「サドル付き分水栓」「継手類」などのよくある質問をQ&A方式でお答えしております。
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サドル付き分水栓

サドル付き分水栓の機能
Q 1
サドル付分水栓について教えてください

分水栓とは、配水管から給水管を取り出すための給水用具です。
中でもサドル付分水栓は、配水管に取り付けるサドル(鞍)機構と止水機構を一体化したものです。
本管を断水せずに分岐工事が行えるため、給水分岐システムとして広く使用されています。

サドル付分水栓の主な特徴は次のとおりです。

  • ①配水本管を断水せずに分岐工事が行える。
  • ②ボルトナットを用いて誰でも簡単に設置できる。
  • ③主要構造は、通常、鋳鉄製のサドル本体、ゴム製パッキン、青銅合金或いはステンレス製の止水栓部の組み合わせで構成されている。
  • ④鋳鉄管、配水用ポリエチレン管、塩ビ管など、様々な配水管種用のサドル付分水栓が準備されている。
防食コアについて
Q 2
防食コアについて教えてください

鋳鉄管および鋼管にサドル付分水栓を使用する場合に、穿孔部に錆が発生して、穿孔穴をふさぎ、通水阻害(水が出なくなる)を引き起こすことがあります。
このような事例に対処するため、穿孔穴に筒状の部品を挿入し、錆の成長を防ぐ様々なコアが開発されました。

防食コアの種類
a).銅コア

大阪市により考案された、最初期の防錆コアです。素材は純銅、燐脱酸銅など。
錆瘤による閉塞や、穴が小さくなってしまう事を防ぐ目的で開発され、穿孔部の鋳鉄部は接水しており、防錆性能は無く、赤水の発生も防ぐ事は出来ません。

b).密着銅コア(拡径型)

純銅、燐脱酸銅などを素材とした芯金に、NBR,EPDM等のゴムを止水部材として被覆したものです。
芯金を挿入棒により拡径し、コアを穿孔穴面及び分水栓に密着させるため、穿孔穴面および周辺は接水することなく、発錆を防止します。

c).ジョイント型コア

コアを穿孔断面に拡径して密着する外側のコアと、それを押し広げる内側のコアに分割した構造のコア。
挿入棒により、内側のコアを外側コアに押し込む事で施工します。素材・構成は各メーカー毎に若干異なり、樹脂(HDPE,POM)、ステンレス、およびNBR,EPDM等のゴム。密着銅コアと比して、力もいらず、簡便な施工が可能です。

d).密着銅コア(水膨潤ゴム型)

素材は純銅、燐脱酸銅など。銅コアの外面に水膨潤ゴムを被覆したもの。水膨潤ゴムは水に触れると膨潤し、穿孔断面に密着します。施工は銅コアと基本的に同じ。工具は銅コアのものを使用して施工を行います。

電気融着について
Q 3
電気融着について教えてください

電気融着とは、EF(エレクトロフュージョン)と呼ばれ、樹脂管に用いる接合方法です。継手およびサドル(鞍部)の接合面に電熱線を埋め込み、管にセット(固定)した後、専用コントローラから通電して電熱線を発熱させ、管継手内面と管外面の樹脂を加熱溶融して融着し、一体化させる接合方法です。管と継手が一体化し、樹脂の柔軟性も相まって、信頼性、耐震性も見込める手法ですが、水場での施工が困難な面もあります。



継手類

主な給水管と管種別継手
Q 4
給水管用継手の種類について教えてください。
給水管 関連規格 特徴 主な継手例
水道用ポリエチレン二層管 JIS K 6762 一種二層管は、管の外層はポリエチレン層(黒色)、内層はポリエチレン層(乳白色)の2層になっています。
継手は、メカニカル形やワンタッチ形などがあります。(写真はメカニカル形の一例)
水道用硬質ポリ塩化ビニル管 JIS K 6742 管の外観は、VP管は灰色、耐衝撃性を高めたHIVP管は藍色です。
継手は、接着接合形とメカニカル形があります。(写真は接着接合形の一例)
水道用ステンレス鋼鋼管
水道用波状ステンレス鋼管
JWWA G 115
JWWA G 119
管は、耐食・耐久性に優れ、波状タイプは柔軟性を備えています。
継手は、主にメカニカル形が使用されています。(写真はメカニカル形の一例)
水道用銅管 JWWA H 101 管は、曲げ加工ができ、給湯配管として広く用いられます。
継手は、ソルダー形またはメカニカル形が使用されています。
(写真はソルダー形とメカニカル形の一例)
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管
JWWA K 116
JWWA K 132
管は、内面ライニングタイプと内外面ライニングタイプがあります。
継手は、ねじ接合形で管端防食コアなどにより、接合部の防食処置がされています。


減圧弁

戸別給水用減圧弁について
Q 5
戸別給水用減圧弁の機能について教えてください。
図.形状例
図.構造例
<用途>
高層住宅等で各階層別に給水圧力の調整を行う際に設置。
<機能>
減圧弁は、通水時に上流側(一次側)からの圧力を減圧弁に内蔵するスプリングとの力の関係によって、下流側(二次側)に減圧することができる製品。


止水栓

止水栓の機能
Q 6
止水栓の機能について教えてください。

水道用止水栓は、主として分岐した給水管の水道メーター(メーターボックス内)周辺に設置される中間バルブで、止水栓二次側の一時的な閉止や水道メーター交換時の閉栓に使用されます。
水道用止水栓の規格はJWWA規格で制定されています。形式は止水機構の違いにより、こま式とボール式に大別され、呼び径は概ね13~50まであります。
水道の導入初期の止水栓は旧式の甲形(こま式)、乙形(コック式)、丙形(こま式)がありましたが、現在では圧力損失、耐久性に優れたボール式が多く使用されています。

止水栓の種類
Q 7
止水栓の種類について教えてください。
ア. JWWA B 108 甲形止水栓

甲形止水栓は構造が単純で流量調整が容易、メンテナンスが容易なことなどが特徴です。
甲形止水栓の構造は、弁がこま式(リフト式とも言う)でハンドルの回転操作によって栓棒を上下させて開閉します。
ハンドルの形状、種類はキー形、キー形キャップ、トンボ形、丸形樹脂、丸型金属、蝶形、開閉防止式などがあり用途に応じて選びます。
給水管との接続はユニオンソケットを使用して接続する平行おねじ形と管を直接ねじ込み接合するテーパめねじ形があります。また、メータなど他機器との交換を容易に行うことが出来る伸縮形があります。
さらに弁のメンテナンスを便利にした副弁付止水栓など多機能の止水栓もあります。

イ. ボール止水栓

ボール止水栓は、1993年のJWWA B 108水道用止水栓の規格改正時に社団法人日本水道協会規格に採用されます。
ボール止水栓にはJWWA B 108、JWWA B 140などの規格形のほか用途や水道事業体の仕様によってさまざまな構造のものがあります。
圧力損失が小さく、90度開閉(クォーターターン)の操作性の良さから採用が増えています。

① JWWA B 108水道用ボール止水栓
弁のシート構造や開閉機構は、一般的なボールバルブと同様であるが水道用としての特徴がいくつかあります。
一般的なボールバルブのハンドルはレバー式が多いですが、水道用ボール止水栓のハンドルは水道メータボックスや止水栓筐などの地中の狭い場所で回転させる必要があることから蝶形ハンドルのものが主に使用され、ほかにトンボ形、丸ハンドル、乙ハンドルなどもあります。
止水栓は地中深く設置される場合が多く、栓棒のシールパッキンは、メンテナンスで増し締めなどができないことが多いため、ダブルOリング方式となっています。
弁の開閉方向は、左回し開きが標準ですが、道路下の第一止水栓用については事業体によって左回し開きと右回し開きがあるので注意が必要です。
本体の材料は、青銅鋳物6種(CAC406)が主に使用されてきましたが、鉛などの浸出基準への対応のため、鉛フリー青銅鋳物の採用が増えています。水道用の止水栓は長期間開閉しない状態で使用されますが、開閉するときには滑らかに作動することが要求されます。そのためボール弁体が青黄銅製の場合、ボールの表面に特殊なコーティングを施して固着防止対策を行ったものが主流となっています。
なお、ボール弁は急開閉するとウォーターハンマを発生させることがあるので、ゆっくり開閉するよう注意する必要があります。

② JWWA B 140水道用ステンレス鋼製ボール止水栓
給水装置のステンレス鋼配管システムに使用する止水栓は、異種金属接触防止の観点から同質のステンレス鋼製の止水栓が望ましいです。
そのため、配管途中の第1止水栓用としてJWWA B 140水道用ステンレス鋼製ボール止水栓が2007年に規定されました。

③ 逆流防止弁付ボール止水栓
直結給水の普及に伴って圧力損失の少ないボール止水栓が普及してきましたが、通常ボール止水栓は逆流防止機能を持たないため、逆流防止のためには水道メータの二次側に単式逆流防止弁を設置する必要があります。その場合、既定のメータボックス内に収まらなくなるため、ボール止水栓に逆流防止弁を内蔵したコンパクトな逆流防止弁付ボール止水栓が開発されています。
伸縮管に単式逆流防止弁を内蔵したタイプ、アングル型ボール弁と自動式逆流防止弁を組み合わせたタイプなどがあります。

ウ. 旧式の甲形・乙形・丙形止水栓

JWWA B 108-1962水道用止水セン(栓)の規格では、水道の導入時に使用された旧式の止水栓で甲・乙・丙形の三種類があり、甲形・丙形は給水装置の一部の通水を制限又は停止するものであり、乙形は給水装置全体の通水を制限又は停止するものとされています。

① 甲形止水栓
内部構造や操作は現在の甲形止水栓と同様ですが、給水管との接続部はソケットのねじ接続式(鉄管用)と鉛管用ソケットのハンダ付け式(鉛管用)とがあります。
現在は、鉛管は水質基準規制で撤去の対象となっており使用されません。

② 乙型止水栓
止水構造はコック式で、摺動部分90°回転して開閉を行う。右回転すると通水し、左回転すると停止状態となります。
乙形止水栓はその後新しい止水栓の登場や使用実績の減少からJWWA B 108:1993.12.1改正に伴い規格から削除されました。

③ 丙形止水栓
内部構造は現在の甲形止水栓とほぼ同じこま式であるが、管接続構造が甲形止水栓はソケットを介して管のねじ接続をするのに対して、丙形は胴とソケットが一体型で、管に直接ハンダ付けする方式となっています。
使用実績がないため、JWWA B 108:1969.8.6改正時に規格から削除されました。



吸排気弁

吸排気弁の機能
Q 8
吸排気弁について教えてください

吸排気弁とは、給水立管の頂部に設置され、脈動や腐食などの要因となる立管内に溜まる空気を自動的に排出する機能と、立管内に発生する負圧を急速に多量の空気を吸気することにより瞬時に解消して給水管からの逆流を防ぐ機能を備えた用具です。WSAでは、衛生面で優れた直結増圧給水方式の採用が増加する中、日本国内での性能基準を統一する必要性を痛感し、協会が独自に性能を規定、適切な設置方法も加えてWSA B 014として規格化しました。

【吸排気弁の機能】
  • ①充水時:給水開始時に給水立管内の空気を排出する機能
  • ②自動空気抜き時:給水立管内に滞留した空気を自動的に排出する機能
  • ③急速吸気時:停電・断水などで給水圧力が低下後、給水立管内が負圧になった場合に外部から空気を瞬時に吸い込む機能


メータユニット

Q 9
メータユニットとはどのような製品ですか?

メータユニットは、マンションなどの集合住宅パイプシャフト内の配管、器具の施工、保守点検等を改善するため、給水用具をユニット化したものです。基本的な構造としては、長尺の金属製のベースに一次側からボール止水栓、(戸別給水用減圧弁)、メーター脱着機構、逆止弁を一体のユニット化したものです。
メリットとしてメーター交換時の配管の芯ずれ解消と前後の配管への負荷軽減、一体化による省スペース化、漏水箇所の削減、防食、配管作業の簡略化などがあります。



メータバイパスユニット

メータバイパスユニットの機能
Q 10
メータバイパスユニットについて教えてください

水道メータ(量水器)は、8年に一回の交換が義務付けられています。これが、集合住宅となると一軒一軒に告知作業を行い、決められた時間内で交換作業を行わなければいけません。また、飲食店・コンビニ等、常に水を使用する店舗では断水を伴う作業は敬遠される傾向があります。これらの問題を解決したのがメータバイパスユニットです。
メータバイパスユニットは、配管をあらかじめメータボックス内に並列的に設置し、弁によって流路を切り替え、流路をバイパスすることで、不断水でメータ交換を行える機能があります。工具を使わず、手動で交換出来るタイプもあり、メータ交換の利便性が向上し、地震発生時の配管のズレを抑止する効果も見込めます。



水道用フレキシブル継手

Q 11
接続継手の種類は何がありますか?

上水ねじ、金門ねじ、管用テーパねじ、水道用ステンレス鋼鋼管、水道用ポリエチレン1種二層管、塩化ビニール配管など様々な規格、管種に対応する継手をご用意しています。詳細はお問い合わせフォーム、または取り扱いメーカーへお問い合わせ下さい。

水道用フレキシブル継手
Q 12
構造・特徴を教えてください

水道用フレキシブル継手は、ステンレス管に均一の波形を成形した「チューブ」とステンレス線材を編み込んだ「ブレード」から成り立っており、端部には相手配管に合わせた継手が接続されています。波付けされたチューブは手で自由に曲げることが可能で、ブレードは内部流体の圧力によるチューブの伸びを抑える役割りがあります。

水道用フレキシブル継手構造
部品番号部分名称
1パッキン
2袋ナット
3止め線
4スペーサー
5スリーブ
6リング
7フレキシブルチューブ
8ブレード
9保護チューブ
10ニップル
11Oリング
Q 13
使用上の注意点を教えてください
  • ・パッキンが付属されている場合は必ず専用の物をご使用下さい。
  • ・接続部が平行ねじである場合、必ずパッキンを使用してください。パッキンを使用せずにシール材またはシールテープを使用すると漏れの原因となります。
  • ・接続部がテーパネジの場合は接続にパッキンを使用しないでシール材またはシールテープを使用してください。
  • ・フレキシブル継手は配管の芯ずれや曲げを吸収することは可能ですが、ねじれを吸収することはできません。製品配管時にねじれが生じないように取り付けてください。特にねじ込み接続の場合はご注意ください。
  • ・フレキシブル継手には許容できる曲げ半径が設定されております。極端に小さな曲げ半径で設置すると耐久性が低下する為お控えください。
  • ・分水栓取り付け後の極端な曲げ調整はサドル付分水栓の破損につながるためご注意下さい。
Q 14
どこに使用されるのでしょうか?

配水小管と各家庭を結ぶ給水管として、サドル分水栓の取出しや水道メーター周りの配管にご使用いただけます。
この度、新たに耐震規格を設けたことによりフレキシブル継手の耐震性能が強化されました。地震による屈曲や急激な伸びが生じたとしても安定した水の供給が可能な災害に強い製品となっております。